Saturday, March 4, 2017

Magic is still there...

I used to think that my Black Labrador Retriever, Tbone's snoring was a magic.
Just hearing his most relaxed sound and feeling him next to me was a magic.
Soon after losing my soul mate suddenly and listening to my dog's snoring in a bed alone in the middle of night was truly magical.

The magic is that he is with me and alive.

Now I was about to be trapped by a thought that the magic is gone just because he was diagnosed with a cancer, but fortunately, I managed not to be trapped by that.

Because I knew that nothing could destroy my happiness with my soul mate and Tbone once I experienced it and engraved it in my life.

I am listening to Gregory Porter with Lalah Hathaway and think of my life with my soul mate.


- We were lovers and the best of friends -
"Insanity" by Gregory Porter


Realized that magic is still there...




その夜、私は、家に帰ってから、久しぶりに青森の実家に電話をした。

ニュースで津波警報があったから、大丈夫? ぜんぜん、大丈夫だよ、そう、みんな元気? 兄さんも体に気をつけてというわずか四分の会話だった。アメリカの不景気と私の職探しの状況を伝えた。

いつものように、寝る前にお風呂に入った。

大好きな音楽をかけながら、乳白色のバスクリンとクラリーセージのオイルを入れたお風呂に浸かりながら、ゆらゆらするキャンドルの炎を見ながら、日本の家族のことを考えた。

一番上の兄は、クラークが亡くなった時に、見事に経済援助をしてくれた。
成功した外科医の彼は、一番末っ子の私をいつも可愛がってくれた。ちょっと手の届かないエリートの兄だと思ったのに、人間味のある人だったんだと、大人になってから分かった。

よく喧嘩した二番目の兄は、今は、素晴らしい奥さんと二人の子供に恵まれて、地域でいろいろと忙しく活躍をしているようだ。

九州に嫁いで三人の子供を育てた姉は、子供の頃は私の憧れの存在として私の世界に君臨し、今は良き話し相手となって、週に一度はメールの交換をする。

父は、母が亡くなってから二十年後に他界し、私たち兄弟だけが残った。

家族の中で、私だけが、今、ここアメリカで、子供も伴侶もいず、仕事もなく、ただ生きている。
たった独りで何をしようとしているのか? という気持ちがよぎった。 
何のために生きているのか? と自分に問いただしたりした。
その答えは知っているはずなのに・・・。
こんな時、空しくなって泣いてもよかった。でも、泣かなかった。
普段の私は、同情を他人から欲しがらない。でも、自分の今の状況を正直に兄に伝えて、お湯に浸かっていたら、同情して欲しいような感傷的な気持ちが湧いて来た。そして、なぜか、その感傷が私を心地よくした。

自分に甘えているというのではなく、そういう気持ちになれるスペースが、私にはまだあったと分かった心地良さだった。

こうやって、明日もどうなるか分からないような生活をしていることは、奇跡なのかもしれないと思った。

いや、奇跡ではなく、魔法なのだ。

私の生活は、こんな魔法の連続のような気がしてきた。

ベッドルームではティーボーンが、人間並みな大きないびきをかいて寝ている。
ティーボーンが人間並みないびきをかいていることも魔法のような気がしてきた。

クラークのお婆さんのアンテイックなドレッサーの上のキャンドルの火がちらちら、浴槽から見える。

ビル・エバンスの “My Romance”が聴こえて来る・・・・ライブ演奏だから、音が少し狂っているピアノを使っているようだ。でも、彼の心の琴線が見事にそのピアノを正常な音にして奏でている。いや、音がちょっと狂っているから良かったのかもしれない。 

これは、ビル・エバンスが亡くなる一年前の演奏だ。
まるで、彼のアルコールとドラッグで蝕まれた体から滲みでるものは、ただ情熱しかないような、そんな弾き方だった。
魔法にかかった私の心は、彼の心が読めるようだった。 
 
ビル・エバンスのピアノとキャンドルの炎と浴槽の中のすべすべの自分の肌が、魔法を感じさせたのだろうか。

ホームシックでもなく、孤独でもなく、悲しみでもなく、何かそれらの感情を全部混ぜて当分した気持ち・・・ニュートラル。それは、平穏でほんのりした気持に近かった。

~セピア色の人生・醍醐味~より


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